ARDBECK

News

3/17のcross fm SWITCH!! 12:10(or13:30)頃に、アードベックが出演します!
#ARDBECK
(2015.03.16)
ARDBECKのアルバム「BLUE」収録曲の「CRISIS」がJFN(全国FM19局ネットワーク)の「OH! HAPPY MORNING」3/16~20の番組パワープッシュ「おすトラ」に決まりました!
http://www.jfn.jp/RadioShows/oh/358

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(2015.03.16)
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Biography

2012年12月結成。80KIDZのサポートで出逢ったベース・ボーカルのYUとドラムのHORIからなるユニット。それぞれベーシスト、ドラムスとしても数々のアーティストをサポートしてきた折り紙つきの演奏を軸に、80'sポップ~ブルー・アイド・ソウル~ディスコなソング・ライティングと、すべてのものを虜にするシューゲイズとチル・ウェイヴの幸福な出会いを実現させたブリージン・シンセ・ダンス・ミュージックを奏でる。

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90年代後半あたりからニューヨークやデトロイト、あるいはヨーロッパ各国へと広がったエレクトロクラッシュ、ディスコ・パンク、あるいはニュー・レイヴと言われるスタイルの音楽が、日本の土壌の中においても一定の人気を獲得していることは殊更説明することもないだろう。若い世代に限らず、2012年に解散してしまったDOPING PANDAやブンブンサテライツといった、90年代から活動している人気バンドたちが2000年代以降にその影響を作品に落とすようなことも増えるに至り、ポスト・パンクやニュー・ウェイヴ・リヴァイバルを発端にした華やかで躍動的なそのムーヴメントは、時代性関係なく定着してきたと言っていい。
ここに紹介するARDBECKも、そうした文脈の中から誕生したユニットと紹介されることが少なくないだろう。実際に、誕生したのは、80Kidzのサポート・メンバーの二人=YuとHoriが出会い、意気投合して組むことになったのがきっかけ。当初、Horiは札幌在住だったそうだが、Yuからの熱烈な説得に応じ上京、2012年12月に初ライヴを敢行するも80Kidzの弟分的存在として話題を集めるのには時間がかからなかったし、Yuは好きなアーティストにフェニックスやトロ・イ・モアなどもあげている。80Kidzのライヴを通じて彼らの名前を知った若いリスナーも少なくない。
だが、ここに届いたファースト・ミニ・アルバムを聴けば、彼らのサウンド・プロダクションに単なるエレクトロ~ニュー・レイヴ系だけではない、様々な音楽性への踏み込みが奥行きをもたらしていることに気づくはずだ。例えばザ・ポップ・グループからポーティスヘッド、あるいはリー・ペリーやエイドリアン・シャーウッドも含むダブ~ブリストル・サウンドの持つ重厚な黒さ、マイ・ブラディ・ヴァレンタインやスピリチュアライズドなどが醸し出すアシッド感に包まれたサイケデリア、ブライアン・イーノやスティーヴ・ライヒのようなアンビエント~ミニマル・ミュージックが伝える静謐な知性、最近だとFKAツィッグスやアーカのような土着と神秘を往還する姿勢、あるいはシガー・ロスやアウスゲイルなどアイスランドのバンドにも似た幻想的なダイナミズムなどなど……僅か6曲ながら実に多くのアングルをさりげなく落とし込んでいる。それはこのARDBECKがフロアで高揚するための機能性に収束していないユニットであることの証左であり、無邪気に様々な音楽の要素に手を伸ばし、それを丹念に熟成させていけるだけのスキルを持っていることを炙り出すものでもあるだろう。
これはあるいは、例えば二人して80Kidzや米津玄師らをサポートしたり、数々のアーティストへの楽曲提供、リミックスなど幅広いサイドワークを多くこなしていることも影響しているのかもしれない。Yuは00年代半ばからバンド活動を展開するなど場数を踏み、HoriもDJやエレクトロ・ユニットでの活動を展開するなどアウトプットが無数にあることがARDBECKの豊かな広がりをこれほどまでにもたらしているという事実。
筆者がこのARDBECKの名前にピンと反応したのは、様々な現場で実力を発揮する鍵盤奏者にしてクリエイターの渡辺シュンスケによるSchroeder-Headz絡みだったからだが、このファースト・ミニ・アルバム『BLUE』を聴き、多くの引き出しを持つ渡辺にも負けないほどの柔軟性と軽やかさに圧倒されてしまった。作詞はYu、作曲は二人によるものだそうだが、そうした音作りのメソッドやプロセスを決して露骨に外には明かさない、いや、静かにヴェールで包んでしまうスマートさも魅力だ。加えて曲名が全て1ワードというのも興味深い。全てをつなげてみると、“目覚め”から“霞”に至るまで、一つの文章になるわけではないが、まるで、優雅な時間の中で瑞々しい音に包まれてまどろんでいるような追体験をすることができる……。
プロフェショナルな仕事を多く積んできた百戦錬磨の二人が、まるで現実逃避をするかのように一瞬のまどろみをこうして音像化することはロマンティックに過ぎる作業かもしれない。だが、こうも言えるのではないだろうか。こんなブルーなフィーリングがなければ、どんな音楽も無味乾燥であると。彼らはそんなメッセージを我々に投げかけているのかもしれない。

2015年1月
岡村詩野